小学生になると学校の授業でも絵を描く機会が増えますが、夏休みの宿題としても絵を描かなければいけないことがあります。
しかし、
「芸術面は生まれ持った才能だから・・・」
「うちの子は親に似て下手だから・・・」
と諦めていませんか?
実際、小学生で絵が上手い子って何が違うのでしょう?
実は、大人がパッと見て上手いと感じる絵と、プロが見て上手いと判断する絵が異なることも多くあります。
とくに、コンクールとなると、意外な絵が入賞していることもあります。
ちなみにうちの子は、物心ついた頃から絵が好きで、幼稚園の年長から絵画教室に行き始めたものの、コンクールで入賞できないのが悩みでした。
今回は小学生の絵について、様々な場所でコンクールの審査員もつとめるうちの子が通っている絵画教室の先生にお聞きした内容や、デザイン学校を出た私の知識、我が子が小学2年生で賞を取れた際の絵を例に出しつつ
- 上手い子の違い
- 描き方
- コンクール入賞するには?
など、お話ししたいと思います。
目次
小学生の絵、上手い子は何が違う?
友達の子の絵が上手いと感じたんですが、その絵はコンクールで評価されなかったんです。
上手い子って何が違うのでしょう?
一般的に絵が上手いと感じるのは、どんな絵でしょう?
- きれいに色が塗れている絵
- 構図のよい絵
- 躍動感あるダイナミックな絵
- 手足のバランスなど、形が上手な絵
色々な絵があり、中学生以降になると、これらを総合して、上手いと評価されますが・・・
小学生の場合、よくある「お人形さんのような絵」これが周りから見ると、上手いと言われることが多い絵ではありますが、実は専門家から見ると評価されません。
それは、あくまでもお人形さんのような絵が上手いだけで、絵としての評価は低くなります。
なぜならば、小学生の場合
- 子供らしさ
- 色使いのセンス
- 構図の面白さ
など、その子の持つ絵の魅力が評価されます。
なので、絵自体の上手さよりも、そういった絵のセンスを見られることが多くあります。
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小学生の絵を上達させるには?描き方のポイントを伝授!
- 絵のバランス(構図)を考える
- 下書きを念入りに
- 色鮮やかに
ポイントはこの3つ!
絵のバランス(構図)
どんなに絵が上手でも、このバランス(構図)がイマイチだと、パッとしません。
逆にいうと、絵があまり上手くなくてもこの構図が良ければ、上手く見えることもあるんです。
細かなバランス(構図)は小学校高学年以上になって勉強するとして、小さい頃に描く絵は、のびのびと描くことがポイントです。
- A・・・口を開けて立つ全体像を描く
- B・・・口を開けている顔のアップを描く
- C・・・歯アップを描く
同じ歯という題材で描こうとしても、バランス(構図)が違えば全然違った絵になるんです。
とくにAを描く場合、何を描こうとしたのか見る人に伝わらなければ、意味がないため、背景を細かく書き込むことも重要になってきます。
ただ、文字を入れるポスターとなるとまた異なり、BやCがパッと見てわかりやすい絵と判断されるでしょう。
どの構図がいいのか?
それこそ絵の技量によっても異なってくるため一概には言えませんが、初心者が描くならBまたはCが描きやすいというのはあります。
しかし、そこから上手さを求めるなら、Bが表情も入れることができるため、感情も伝わり評価されやすい絵となるでしょう。
下書き
下書きは念入りに。
つまりはデッサン力です。
ど〜せ色を塗れば下書きは消えるんだから・・・と思うかもしれませんが、この下書きがしっかり描かれていると色塗りをした後もバランスが悪くなることもありません。
何かを見て描く際は、その対象となる物をしっかり観察して下書きすることが上達への第一歩です。
特別色塗りに工夫したわけではなく、これはデッサン(下書き)に時間をかけたようです。
貝をよく観察し、どんな形をしているのか?
また、どんなバランスで貝を配置するのかを下書き段階で何度も修正したようです。
そして、色塗り段階では、貝を置いたら影が出来る点にも注意したようで・・・
貝の一つ一つの形を見るとわかるのですが、決して絵が上手いわけではないものの、イメージを掴んでいるから上手く見えちゃうんですね。
色鮮やかに
色のもつ影響は大きく、人は色によって色々な見方をします。
- 青系・・・冷たい・寒い・爽やか・静
- 赤系・・・暑い(熱い)・興奮・情熱
- 緑系・・・爽やか・自然・落ち着き
- 黄系・・・明るい・楽しい・輝き
- 黒・・・暗い・怖い
など、色のもつ印象があります。
このように色をたくさん使えば、その分楽しく賑やかな印象となり、子供らしさや評価も高くなります。
技法など、細かな上達方法は様々ありますが、この上記の3つのポイントを抑えるだけで、グッと絵が上達した感じになるんです。
騙されたと思って、以上の点を子供にアドバイスしてみてください。
やってはいけないこと
- 下手などと怒らない
- 周りと比べない
- ムリやり描かせない
この3つのことはやってはいけません。
絵は心理状態が細かに現れます。
下手と怒られたり、「そこはそうじゃない!」などと細かく口を出されると、絵を楽しく描けなくなり、そのモヤモヤとした心理状態が絵に出ます。
周りと比べるのも同様です。
絵には個性があり、周りと比べるのはその個性を否定してしまうことにもなります。
のびのびさがなくなってしまったり、人の真似になってしまうと大事な個性がなくなっちゃいますからね。
また、子供の気分が乗らない時にムリやり描かせてもよい絵は描けません。
楽しく描くことが重要なんです。
確かにどれもやっちゃいがちですね。
これこそ子供の絵の意欲を下げ、そういう絵にしちゃってた原因なんですね。
絵には心理状態が反映されますからね。
逆にいうと、楽しんで描いている絵は楽しく見え、怒りながら描いている絵はそれが絵にも現れたり・・・不思議ですよね。
小学生の絵をコンクールで入賞させるには?
- 審査員が教育関係者のコンクールを選ぶ
- 全国版より地域版コンクールを選ぶ
- 過去の入賞作品をチェックして選ぶ
コンクールといっても様々あり、審査員も違えば、選定方法も異なります。
審査員が教育関係者
審査員が美術関係者の場合は、技術やテーマに沿った絵かどうか、プロの目から見た評価がされますが、審査員が教育関係者だと上手い絵は逆に省かれます。
まずは、、絵が元々上手でない(自信がない)場合、教育関係者が審査員のコンクールを選ぶことです!
教育関係者が審査員の場合、技術的に上手な絵よりも、子供らしさやのびのびとした絵、楽しく色鮮やかな絵が選ばれることも多くあります。
全国版より地域版
しかし、全国版だとそれだけ出展数も多くライバルも多い上に、なかなか目立つ絵でないと目に止まりませんし、「これって大人が描いたんじゃない?」というかなりレベルの高い絵が多いのも事実です。
しかし、その分、地域版だと人数も限られ、競争率は低くなりますよ。
過去の入賞作品をチェック
コンクールには、応募要項が記載してある専用ホームページがあります。
そこを覗くと、過去の受賞作品も掲載されていて、どんな絵が選ばれているのかがわかり、「これなら自分もいけるかも」という判断基準にもなりますよ。
まずは入賞を目標とするなら、
過去の入賞作品をチェックし、教育関係者が審査員に加わっている地域版に応募する
のがよいでしょう。
入賞作品
銅賞
こちらは、自由な題材で応募できるMOA美術展に、野球観戦に行った時の絵を描いて応募したものです。
体のバランスや構図はまだまだですが、カラフルな色合いと子供らしさが評価され、銅賞に入賞しました。
この絵を仕上げるまでに、約8時間・・・下書きに3時間、色塗りに5時間かかっています。
全てをぶっ続けでやるわけではなく、子供の気が向いた時に、「今日はここまで」と、子供のペースで描き進めました。
構図的にはまだまだですが、
- 野球を家族で見に行ったということが伝わる
- 楽しげな様子が伝わる
- 色鮮やかで子供らしい
- しっかり細部まで描き込んでいる
と、絵の上手さよりも見ている側の気持ちも評価にプラスされたようですね。
銀賞
こちらは、地域のコミュニティーセンターで募集された夏休みの思い出という題材で、友達と行った川遊びの絵を描いたものです。
日焼けした友達は、ちょっと黒目の肌に。
川で捕まえたエビなども描き、楽しげな様子と、川の流れを描いた躍動感を評価されました。
川の流れを白だけで描くのではなく、あえて色んな色で表現したことで、絵に明るさや動きがプラスされたようです。
歯を見せることで楽しさも伝わって来ますしね。
金賞
社会福祉協議会主催の福祉コンクールの絵で、おじいちゃんの肩もみという福祉のテーマに沿った仕上がりになっています。
自分の手を何度も何度も観察し、この姿勢をとったらどういうシワが寄るのか?
そこを描き加えてリアルな手を表現していました。
また、おじいちゃんの家の様子を背景にしっかり描くことで、寂しげな印象にならないよう注意したようです。
- 温もり
- 躍動感
- 福祉というタイトルとの適合性
が評価されたようです。
このように、特別絵自体が上手なわけではないものの、色の深みやセンス、題材とのマッチングなどもコンクールに入賞するためのポイントですね。
うちの子の場合、絵画教室の先生にも「絵自体が上手なわけではないものの、(色塗りや構図など)絵に面白さや気持ちが入るようになった。」
と言われ、地域版でしたがコンクールで入賞できたことでモチベーションが上がり、自ら絵を描いて応募したいと言うようになりました。
入賞した際にもらえる商品も、そういったやる気を高める原動力ともなりますしね。
最後に
小学生の絵を上達させるポイントをまとめます。
- 絵のバランス(構図)・下書き・色合いを見直すことが上達のポイント
- 叱らない・比べない・ムリ強いしない
- 絵は心理状態をあらわすので、子供のテンションを下げないことが大事
- 入賞を目指すには、教育関係者が審査員・地域版を選ぶ
確かに、絵などの芸術面は生まれ持った才能もあるかもしれません。
しかし小学生のうちはそんなの関係なく、子供らしさや素直さも求められます。
まずは、色んなものを目で見て感じ、五感を働かせ、素直な気持ちを画用紙にぶつけてみるのがよいでしょう。