先日、話題のドラマ「コウノドリ」でも、妊娠高血圧症候群の事を取り上げていましたね。ドラマでは43歳の妊婦さんにその症状が現れて、高齢出産のリスクの一つとして描かれていました。
妊娠高血圧症候群と言われるようになったのは、10年くらい前からで、以前は妊娠中毒症と呼ばれていました。妊娠中毒症という言葉は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は、妊娠高血圧症候群と診断された場合、どのような症状や治療方法があるのか、赤ちゃんに影響があるのかお話したいと思います。
目次
妊娠高血圧症候群の症状は?
妊娠高血圧症候群とは、かつて妊娠中毒症と呼ばれていたもので、現在は、高血圧を伴う病的状態の事を言います。発症時期は、妊娠20週から分娩後12週までで、高血圧(最高血圧が140mmHg以上、最低血圧が90mmHg以上)がみられる場合、または高血圧に加えて尿蛋白検査が(+)の場合に妊娠高血圧症候群と診断されます。
自覚症状としては、むくみや頭痛、めまいなどです。手指がこわばったり、しびれるという症状もあるようです。特に、血圧が高い妊婦さんで、持続する強い頭痛や、目が見えなく感じたり、目の前で花火のようにチカチカしたものが見えたり、みぞおちの辺りが急に痛くなるなどの自覚症状が起こったときは、直ちに厳重な管理が必要となりますので、産婦人科に連絡することをおすすめします。
妊娠高血圧症候群の治療法は?
治療は、安静と食事療法が中心になります。軽度の場合は、カロリーや塩分に気をつけた食事の指導と自宅療養になりますが、重度の場合は、入院して食事管理と安静を徹底します。さらに症状が重い場合は、降圧剤など薬物治療になります。
軽度の場合は、自然分娩での出産も可能ですが、重症の場合、症状を改善するのに効果的なのが、妊娠を中止することなので、ママや赤ちゃんにとって妊娠を続けるのが良くないと考えられた場合には、帝王切開での出産になります。通常、出産することで、ママの症状は急速に良くなります。
妊娠高血圧症候群の予防方法はある?
自分でできる予防法として以下を心がけてみましょう。
- ストレスをためない
- 塩分やカロリーに気をつけて、栄養バランスの良い食事を心がける
- 適度に運動をする
- しっかりと睡眠をとる
しかし、残念ながら、誰もが認める予防法がまだ見つかっていないので、こうすれば大丈夫!という対策ができないのが現状です。もちろん、食べ過ぎたり、塩分の取りすぎにより妊娠高血圧症候群になりやすい事もありますが、逆に過度のカロリー制限や塩分摂取制限も危険になります。
- 糖尿病、高血圧、腎臓病の人・・・元々これらの病気を持っている人、または、家族がこれらの病気を持っている人
- 極端な体型の人・・・太りすぎの人は心臓を圧迫し、血圧が上昇しやすいですし、痩せすぎの人は疲労やストレスを溜め込む傾向があります。
- ハードな仕事やストレス、睡眠不足の人・・・疲労やストレスにより、タンパク尿が出やすかったり、血圧が上昇しやすくなります。
- 35歳以上の高齢初産と15歳以下の若年出産・・・高齢初産の場合は、妊娠糖尿病を併発しやすく、若年出産も統計的になりやすい傾向にあります。
- 多胎妊娠の人・・・母体への負担が大きくなるため、病気を引き起こしやすくなります。
- 初産婦、過去に妊娠高血圧症候群だった人・・・経産婦より、初産婦に多く見られる傾向があります。また、過去に妊娠中毒症(現在は妊娠高血圧症候群)と言われた方も、繰り返す傾向があります。
妊娠高血圧症候群 ママや赤ちゃんへの影響は?
妊娠高血圧症候群になると、重症の場合、子宮や胎盤での血液が流れにくくなり、赤ちゃんの栄養不足、酸素不足につながり、胎児発育不全、低出生体重児などになる場合があります。最悪の場合、お腹の中で赤ちゃんが亡くなってしまうこともあります。また、赤ちゃんやママに重大な影響を及ぼす病気を併発する可能性があります。代表的なものが以下になります。
子癇
急激におこった高血圧によって脳の中の血液が増え、脳の中にむくみが起きて、けいれんを起こします。子癇が治まらない場合は、脳ヘルニアという状態になり、赤ちゃんのみではなく、ママの命も危険な状態です。中には、脳出血などが起きている場合もあります。したがって可能な場合はCTやMRIで脳出血があるかないかを診断し、脳出血がある場合には、脳神経外科医あるいは神経内科医と一緒に治療することが必要となります。
HELLP症候群
妊娠の後半からお産の後に発症しやすい疾患です。血液中の赤血球がこわされ、肝臓の機能が悪くなり、血小板が減少してしまう病気です。診断が遅れると、血液の凝固障害や全身の多くの臓器がダメージを受けて致命的になります。妊娠高血圧症候群と関係があると言われますが、原因はまだ不明な点が多いです。
最も重要な症状は、突然の上腹部痛やみぞおちの痛みです。治療の基本は、できるだけ早く赤ちゃんをお腹の外に出すことです。
常位胎盤早期剥離
子宮の正常な位置に付いている胎盤が赤ちゃんが生まれる前にはがれてしまう病気です。全ての妊婦さんの0.5~1.3%に起こり、妊婦さんの死亡率は5~10%、赤ちゃんの死亡率は30~50%との報告があります。原因は不明な点も多く、発症を予知することは不可能です。妊娠高血圧症候群で起きることが多いと言われていますが、妊娠高血圧症候群でない妊婦さんにも起こることが少なくありません。
症状は、剥離の程度にもよりますが、陣痛とは違う、突然の持続的な強い腹痛です。治療は、お母さんの全身状態や赤ちゃんの状態などから総合的に判断します。お産後、子宮の収縮が良くない場合には出血が多くなりますので子宮をとらなければならない時もあります。
最後に
私は、家族に糖尿病がいたので、遺伝的に妊娠高血圧症候群になりやすい体質という事で、前回も今回の妊娠時も、ブドウ糖負荷試験をしました。通っている産婦人科によって多少違いますが、甘いサイダーを飲んで、1~2時間後の血糖値を測るものです。時間がかかるので待ち時間が疲れますが、検査自体はとても簡単です。この検査を受けるまでは、妊娠糖尿病になっているのでは・・・と不安でしたが、前回も今回も大丈夫でした。
大丈夫だったからといって、安心して、つい甘いものを食べ過ぎたりしないように、体重コントロールに気をつけていかなきゃと心がけています(^_^;)
妊娠高血圧症候群は、原因もまだわからない事が多く、確立された予防法や効果的な治療法が見つかっていませんが、妊娠高血圧症候群になりやすい人は特に気をつけて、ストレスをためない、栄養バランスの良い食事を心がける、適度に運動をする、しっかりと睡眠をとる、など改善、回避するために自分で出来る事をしていきましょう!
by yozayuzu